相続放棄が年々増加

最高裁判所の事務総局が公表したところによりますと、相続放棄の受理件数は年々増加し、2019年の225,416件が、2023年には282,785件と25%も増えています。
この背景には、高齢化社会の進行に伴う相続件数の増加や、管理や維持が困難な空き家や土地の増加、さらには借金や保証債務などを相続しないための防衛策として相続放棄が利用されていることが挙げられます。
上記のような不動産等は所有者にとって負担でしかなく、「負動産」と呼ばれるようになりました。不動産を相続すると、相続税や登記のための登録免許税がかかり、使用しなくとも固定資産税、都市計画税が毎年課税されます。空き家として放置され、「特定空家」に指定されると住宅用地の特例が適用されなくなり、税負担が大幅に増加します。こうしたことから、相続財産のなかに負動産がある場合は、プラスの資産がある場合でも、相続を放棄する相続人が増えているのです。
この「負動産」に悩まないためには対策が必要です。不要な不動産の処分方法としては、(1)売却する(2)自治体、公益法人に寄付する(3)民間団体に無償譲渡する、などがあります。ただし自治体等に受け入れてもらえるケースは少ないので、事前に確認が必要です。生前に対応が困難な場合は、遺言書を作成し、処分方法を指定しておくことがトラブル回避として有効です。また遺言執行者を指定しておくと、より円滑に手続きが進められます。
そのほかにプラスの財産を限度に、マイナスの財産を引き継ぐ「限定承認」の選択肢もあります。ただし、相続放棄や限定承認を選択する場合は、相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に、相続人が(限定承認の場合は相続人全員が)家庭裁判所に申述する手続きを行う必要があります。
このように相続対象となる財産は、プラスの資産だけではなく、負の資産の引き継もありますので、これを回避するために早めに準備することをお勧めします。