相続税の申告等についてのご案内が届いたらすること

突然、税務署から「相続税の申告等についてのご案内」や「相続税についてのお知らせ」といった文書が届くと、多くの方が驚きと不安を感じます。「なぜ自分に届いたのか?」「相続税を申告しなければならないのか?」「無視しても大丈夫なのか?」といった疑問が次々と浮かぶのは自然なことです。

これらの通知は、国税庁が金融機関や法務局などから得た情報をもとに、相続税の申告対象となる可能性がある方に送付されています。通知を受け取った場合、必ずしも納税義務があるとは限りませんが、対応を誤ると税務調査や追徴課税のリスクにつながります。本記事では、通知の意味や届く理由、届いた後に取るべき流れを専門家の視点からわかりやすく解説します。

「相続税についてのお知らせ」が届いたら

「相続税についてのお知らせ」は、税務署が「相続税の申告が必要になる可能性がある」と判断した人に送付する文書です。これは申告義務が確定したという通知ではなく、あくまで「申告対象の候補」として挙がっていることを意味します。届いた人は、相続財産の内容を改めて確認し、申告が必要かどうかを整理する必要があります。

「相続税についてのお知らせ」はどういった人に送られてくるのか

この通知は、金融機関や法務局からの情報をもとに、被相続人にある程度の財産があったと推測される場合に送付されます。たとえば、不動産登記の名義変更や高額な預貯金の存在が確認されると、税務署は「課税対象の可能性がある」と判断します。そのため、必ずしも全員に届くわけではなく、一定の資産規模のある家庭に届きやすいのが特徴です。

「相続税についてのお知らせ」が届いた後の流れは?

通知を受け取ったら、まずは相続税の基礎控除(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を確認しましょう。財産の合計額がこれを超える場合、申告が必要となります。もし判断が難しい場合は、早めに税理士へ相談することが重要です。放置してしまうと税務署から追加のお尋ねが来たり、期限を過ぎて延滞税や加算税が課されるリスクがあります。

「相続税の申告等についてのご案内」が届いたら

「相続税の申告等についてのご案内」は、「相続税についてのお知らせ」よりもさらに一歩踏み込んだ通知です。

税務署が「この相続については申告義務がある可能性が高い」と判断した場合に送付されるもので、納税対象者に対する“警告信号”ともいえます。受け取った時点で放置せず、相続財産の洗い出しと申告の可否を迅速に判断することが大切です。

「相続税の申告等についてのご案内」はどういった人に送られてくるのか

この文書は、被相続人が比較的大きな財産(不動産、金融資産、株式など)を残している場合に送られる傾向があります。特に、都市部に土地や複数の不動産を所有していた場合は、相続税評価額が高額になりやすいため、対象となる可能性が高まります。

「相続税申告等についてのご案内」は納税対象者のフラグ

この通知が届いた時点で、税務署は「申告が必要」と強く認識していると考えてよいでしょう。もちろん基礎控除内で収まる場合もありますが、多くのケースでは申告の可能性が高いため、専門家への相談を検討すべき段階です。

なぜ送付対象と判断された?対象者を洗い出すKSKシステムとは

税務署はKSKシステム(国税総合管理システム)を用いて、相続人や被相続人に関連する財産情報を収集・照合しています。

KSKシステムとは

KSKシステムは、法務局の不動産登記情報や金融機関からの報告を基に、被相続人が保有していた財産を一元的に管理する仕組みです。

KSKシステムを相続税情報に活用

この仕組みによって、税務署は「どの相続にどれくらいの財産があるか」をおおよそ把握できるため、対象者を効率的に絞り込むことが可能となります。

KSKシステム活用のメリットは?

本来の納税対象者を取りこぼさず、確実に申告を促すことができる点にあります。つまり『ご案内』が届いた時点で、税務署側は高い可能性をもって相続税の課税対象だと判断しているのです。

「相続税についてのお知らせ」と「申告等についてのご案内」の違い

両方とも相続税に関する通知文書ですが、意味合いと対象者は異なります。混同してしまうと誤った判断をしやすいため、それぞれの位置づけを理解しておくことが重要です。

「相続税についてのお知らせ」
 相続財産の存在が推測される方に対して、まず送付される一次的な通知です。あくまで「課税対象となる可能性がある」という段階で、必ずしも申告が必要とは限りません。

「相続税の申告等についてのご案内」
 より対象を絞り込み、税務署が「ほぼ確実に相続税の申告が必要」と見込んでいる方に送付される通知です。届いた時点で、申告準備を進める必要が高い状況と考えるべきです。

この違いを知ることで、「お知らせ」が届いた段階ではまだ余裕があるが、「ご案内」が届いたらすぐに対応すべき、という優先度が明確になります。

特に「ご案内」は納税義務のフラグである可能性が高いため、無視すると税務署からの再度の連絡や調査につながる危険があります。

「相続税申告等についてのご案内」が届いた後の流れ

この通知を受け取ったら、放置せずに速やかに対応を進めることが重要です。

特に相続税は申告期限が「相続開始から10か月以内」と短いため、余裕をもって準備を始めなければなりません。

ステップ1:財産の洗い出し

不動産、預貯金、有価証券、生命保険、負債など、すべての財産を一覧化します。この際に評価額を間違えると後の修正申告や追徴課税につながる可能性があるためご留意ください。

ステップ2:課税額の確認

基礎控除額(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を超えるかどうかを計算します。土地や不動産の評価は複雑で、路線価や小規模宅地の特例などを適用するかどうかで納税額が大きく変わります。

ステップ3:申告書の作成と提出

申告が必要な場合、期限内に相続税申告書を作成し、税務署へ提出します。

なお、この段階で税理士に依頼する方が多いですが、相続税対策を行うにはタイミングが遅くなってしまうため、延納や物納できれば生前から遺産の情報整理を行っていただき、税理士にご相談しておいていただくことをおすすめいたします。

特に不動産を含む相続では専門家の助言が不可欠です。

ステップ4:納税

現金での納付が基本ですが、財産の状況によっては選択することも可能です。これらの制度を利用するには、申請が必要になります。

この一連の流れを正しく踏まえることで、余計な税負担や税務署からの指摘を避けられます。

「相続税の申告等についてのご案内」は必ず回答が必要?

結論から言えば、この通知を無視することは非常に危険です。

必ずしも全員が相続税を納める必要があるわけではありませんが、通知が届いた方は「申告の対象とみなされている可能性が高い」という前提で行動する必要があります。

もし放置した場合、税務署から追加のお尋ねや調査の連絡が来る可能性があり、場合によっては延滞税や無申告加算税の対象となります。また、「必要ないと思って何もしなかった」という自己判断が後に否認されれば、余計な税負担を強いられるリスクもあります。

一方で、財産が基礎控除額以下であれば申告不要のケースもあります。その場合でも、税務署に対して「申告不要」であることを説明したり、専門家の意見書を添付することで、不必要なトラブルを回避できます。

押さえておきたい相続税の基礎知識

「相続税の申告等についてのご案内」が届いた方にとって、相続税の基本的な仕組みを理解しておくことは非常に重要です。

特に申告期限や税務調査の傾向、不動産の評価などは実務上の落とし穴となりやすいため、最低限押さえておきましょう。

申告期限が短く、税務調査率も高い税金です

相続税の申告期限は「相続開始から10か月以内」です。この期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税が課される可能性があります。さらに相続税は他の税目に比べて税務調査率が高く、提出した申告書の内容が重点的に確認されます。期限を守り、正しい申告を行うことが不可欠です。

不動産・土地を相続する方は特に注意

不動産の評価額は、申告内容や評価方法の違いによって大きく変わることがあります。市街地に土地を持つ場合、路線価や固定資産評価額を基に算出しますが、適用できる特例(例:小規模宅地等の特例)を利用するかどうかで税額は大幅に変わります。

土地評価や特例制度の適用の可否

ここでは専門家の判断が不可欠です。誤った評価を行うと「払い過ぎ」や「申告漏れ」といった問題につながるため、専門の税理士に相談して適切な評価を行うことが望ましいでしょう。

相続税申告をする方へのアドバイス

相続税は一度申告してしまうと修正が難しいため、最初から正確な対応を行うことが求められます。財産が複雑な場合や不動産が含まれる場合は、専門家に依頼することで安心して手続きを進めることができます。令和税理士法人 八王子の相続相談所では、初回相談無料・明確な料金表を提示しており、安心してご相談いただけます。

この「ご案内」が届いた時点で重要なのは、「自分が申告義務を負うのかどうかを専門的に確認すること」です。早い段階で税理士に相談すれば、期限内に適切な対応ができ、安心して手続きを終えることができます。

相続税のお悩みは専門家にご相談ください

税務署から「相続税の申告等についてのご案内」や「相続税についてのお知らせ」が届いたら、それは申告対象となる可能性が高いというシグナルです。

届いた通知を放置すると延滞税や調査につながるおそれがあり、正しい対応が欠かせません。

重要なのは、

です。特に不動産や土地が絡む相続では、評価や特例の適用に専門的判断が必要です。疑問や不安を感じたら、一人で抱え込まず、相続税に精通した専門家へ相談してください。

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八王子の相続相談所

地域密着の税理士事務所として、八王子を中心に数多くの相続案件をサポートしてきました。専門的な知識を、わかりやすく丁寧にお伝えすることを大切にし、皆さまの不安を解消する身近なパートナーでありたいと考えています。