社長(オーナー)借入金を減らす方法 (1/2)

中小企業においては、資金繰り上会社が困ると、社長がポケットマネー等を会社に貸し付け、ついそのままになってしまい、気が付くと結構馬鹿にならない金額になってしまってい る例を多く見受けられます。

会社が元気、社長も元気でいる間はよいが、社長が老境に達するとこれが問題となって来 ることがあります。即ち会社に対する貸付金は社長の相続財産となることです。会社に返済 能力があれば問題ありませんが、債務超過の状態等であれば、回収可能性が問題となります。誰が見ても回収できないことが明らかな状態であれば問題は少ないが(これ自身も結構難 しいが)、現実的に回収が危ぶまれる状態であれば厄介な問題となります。

そこで対策としては、会社に繰越損が多額にあれば社長に債権放棄をしてもらい、会社は 債務免除益と繰越損をぶつけることにより税負担はなくなります。もっとも債権放棄をした場合は、債権放棄通知書を作成しておく必要があるでしょう。
この方法で債務超過が解消された場合、株式の評価が上昇したりするとみなし贈与課税 が発生する可能性が出てきます。債権放棄者から既存株主への贈与となるからです。

次に考えられるのは、役員報酬を減額しこの減額分で徐々に借入金を返済してゆく方法 です。役員報酬が減額された分だけ料金(所得)は増えることとなりこれは法人税の増額もありえますし、金額的にも限界があり、かつ時間がかか るという欠点があります。
債権放棄と役員報酬の減額の両方を使えば、社長借入金の減少、消滅に大きな効果が期待 できます。しかし繰越損失も少なく、役員報酬の減額も厳しい会社にあってはこれらの方法 は使えませんので、次に考えられるのはDESおよび疑似DESとなります。

DESと疑似DESについては、少々難しいので項を改めてお話致します。

The following two tabs change content below.
【公認会計士・税理士】早稲田大学第一商学部卒業。 有限責任監査法人トーマツ退社後、清新監査法人を設立、代表社員として従事(平成15年退任)。 税理士としては、トーマツ退社後、共同事務所経営を経て、串田会計事務所を設立。平成28年に税理士法人化、令和元年に社名を令和税理士法人に変更。現在に至る。 事務所開業以来40余年、個人のお客様及び中小企業から上場企業まで関与。 他に令和アドバイザリー株式会社の代表取締役を兼務。 趣味は、剣道(7段)、長唄、観相、囲碁等多数。