民事信託(その1)
皆さんは民事信託という言葉はご存知でしょうか?最近といっても7~8年経ちますが、民事信託とか家族信託ということをよく聞かれるようになりました。信託には信託会社、信託銀行等が行う商事信託と、それ以外の全く素人でもできる民事信託というものがあります。
信託とは、一定の財産を持った人(委託者)が、その財産の管理運用を信頼できる人(受託者)に委託し、受託者は責任を持って管理運営し、そこから発生した利益を定められた者(受益者)に渡す。という仕組みのことです。すなわち下図のような関係を言います。
例えば委託者Aが「私の財産のうち○○にある土地建物の地代家賃の収入から経費の支払い及び土地建物の管理をBに委託する。受託者Bはこの財産の管理運営を忠実に履行し、
そこから得られた利益を、受益者Cにわたす。」(受益者は自分であるAでもよい。)
というものです。これを契約書にして登記すればよいのです。
登記する際、この土地建物は受託者であるBの名義に所有権を移転します。すなわち受託者Bはこの土地の売買もできることになるのです。従って受託者には相当信頼できる人を選ばねばなりません。
この民事信託が採用される最も大きな目的は、認知症対策でもあります。認知症になってしまうと、法律的な手続きは一切できなくなります。銀行預金の出し入れもできなくなるのです。信頼できる受託者に任せておけば認知症になっても財産管理は安心というわけです。
後見人制度というのもありますが、何をやるにも許可が必要で面倒なことになります。
ここで関連した制度について比較してみました。
この続きは(その2)をご覧ください。