小規模宅地の特例で、適用する宅地を間違えた適法な申告後の訂正は認められるか?

農業従事者の相続人が、農家(自宅、納谷、倉庫など)を相続し、当初申告において特定事業用宅地等として(納屋の敷地分の)75㎡を選択して申告しました。 しかし彼は宅地に係る特例適用額に誤りがあったと、更正の請求をしました。
(具体的には宅地のうち、倉庫敷地の用に供されている部分については当初申告では特定居住用宅地等に含めていました。実際は特定事業用地等に該当し、それに含めるべきであったなどの事実誤認があり、特定事業用宅地等である選択特例対象宅地等の面積が、実際には418㎡となるから本特例適用額の計算に当たっては限度面積要件である400㎡を基に行うべきであること)

これに対して税務署は、更正の請求を認めませんでした。相続人が出した当初申告書は、特居住用宅地等として選択したものも、特定事業用宅地等として選択したものも適法であり、課税価格の計算も誤りなきため、更正の請求により特定事業用地等につき400㎡を選択することはできない。というもの。

東京地裁の判断も、同様の判断をしています。(詳細は省略しますが、)本件特例を受けるものとして適法に一度選んで申告したものはあとになってこれを覆し本件特例の適用を拡大する趣旨で、更正の請求をすることを許さないこととしたものとされました。
つまり、東京地裁は今回の事案に対して、小規模宅地等の特例に関するいわゆる適用宅地の「選択替え」の問題として、当初に適法な申告をしたら、あとで訂正できないものと同じと断じたわけです。

小規模宅地等の特例は課税価格の評価上、控除額が大きく、非常に役立つ制度ですので、税務署の方もその適用は年々厳しくなってきております。宅地の選択には慎重さが求められるところです。くれぐれもお気をつけて適用してください。

The following two tabs change content below.
【公認会計士・税理士】早稲田大学第一商学部卒業。 有限責任監査法人トーマツ退社後、清新監査法人を設立、代表社員として従事(平成15年退任)。 税理士としては、トーマツ退社後、共同事務所経営を経て、串田会計事務所を設立。平成28年に税理士法人化、令和元年に社名を令和税理士法人に変更。現在に至る。 事務所開業以来40余年、個人のお客様及び中小企業から上場企業まで関与。 他に令和アドバイザリー株式会社の代表取締役を兼務。 趣味は、剣道(7段)、長唄、観相、囲碁等多数。