特別寄与料について

民法が改正され従来は寄与分としてとらえられていたものが、「特別寄与料」という新しい考え方となりました。
即ち特別寄与者は、特別寄与料を請求することができるのです。ではいくら請求できるかというと具体的には決まっていません。ケースバイケースで、一概には決められないからです。
相続人との交渉になります。

例として母親は既に死亡しており、この度父親が死亡した(被相続人)。子供は3人兄弟(相続人)で、長男は既に死亡しており(長男には子供はいない)、長男の嫁が無償で父親の療養看護等をしていた。長男の嫁に相続権はない。
この場合長男の嫁は相続人たる次男三男対して特別寄与料として、金銭の請求をすることができるのです。次男三男の負担割合は平等で、法定相続分によります。

次男三男が支払った金額は相続財産から控除されます。(債務控除とされる。)
受け取った方(長男の嫁)の課税関係は、所得税でも、贈与税でもなく、相続税として処理されます。即ち被相続人から遺贈によりもらったものとみなされるのです。従って長男の嫁は相続税を支払うわけですが、金額は相続人でないため相続税の2割加算の対象になります。
そして長男の嫁の申告は寄与料が確定してから10か月以内に申告せねばなりません。被相続人の死亡後10か月以内ではありません。この特別寄与料は相続税の申告期限後に決まることもあり、その場合、相続人は相続税が減額となるので、更正の請求をすることになります。

この制度はまだ新しく、実務上の例もさほど多く発生していませんが、今後増加するものと思われます。金額的相場もまだ確立されておらず、その金額如何によってはもめることも予想されます。
遺産分割を円満に進めるためには、被相続人が遺言等であらかじめ決めておくことをお勧めします。

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【公認会計士・税理士】早稲田大学第一商学部卒業。 有限責任監査法人トーマツ退社後、清新監査法人を設立、代表社員として従事(平成15年退任)。 税理士としては、トーマツ退社後、共同事務所経営を経て、串田会計事務所を設立。平成28年に税理士法人化、令和元年に社名を令和税理士法人に変更。現在に至る。 事務所開業以来40余年、個人のお客様及び中小企業から上場企業まで関与。 他に令和アドバイザリー株式会社の代表取締役を兼務。 趣味は、剣道(7段)、長唄、観相、囲碁等多数。