親から借りたお金が贈与とみなされないための方法

(1)親子間の財産移転は贈与とみなされやすい。

ローンを組む場合、金融機関で組むと、返済期間や金利での融通がききにくいところから、「自分で子供に貸す」と考える親御さんも少なくありません。しかし親子間の貸借は、税務署から「借金ではなく、贈与」と判断されてしまう可能性があります。

(2)贈与とみなされないための4つのポイント

そこで、親子間の貸借は客観的に分かるようにしておかなければなりません。そのためのポイントは次の4点です。
①借用書を作成する。②返済は現金でなく銀行振り込みとする。③金利を設定する。④現実的に返済可能な額と期間を設定する。 となります。

(3)親が亡くなった場合はどうなるか?

その貸付債権(貸付金)は相続財産に含まれることになります。債権者と債務者が同一となった場合、民法上は債権債務が消滅します。これを「混同」といいます。
相続人が一人なら問題はないでしょうが、相続人が複数以上いると、少々厄介な問題が出てきます。債権が他の相続人によって相続されることによって他の相続人に対して返済義務が生じるだけでなく、他の相続人は債権が課税されている分相続税を余計に支払わなくてはならなくなる可能性も出てきます。
そのようなトラブルを避けるために、親は遺言書を作成しておくべきです。
そこには次の2つの事項を書いておきましょう。
①債務免除を記載し、債権を消滅させておく。(債務免除されても相続税がなくなるわけではありません。)
②借金していた子供が債権を相続するような形で遺産を分割する。

親子間の財産移転が贈与か相続かによって予想される展開は異なります。思わぬ税金を取られないように注意しましょう。

The following two tabs change content below.
【公認会計士・税理士】早稲田大学第一商学部卒業。 有限責任監査法人トーマツ退社後、清新監査法人を設立、代表社員として従事(平成15年退任)。 税理士としては、トーマツ退社後、共同事務所経営を経て、串田会計事務所を設立。平成28年に税理士法人化、令和元年に社名を令和税理士法人に変更。現在に至る。 事務所開業以来40余年、個人のお客様及び中小企業から上場企業まで関与。 他に令和アドバイザリー株式会社の代表取締役を兼務。 趣味は、剣道(7段)、長唄、観相、囲碁等多数。