遺言書の内容と異なる遺産分割協議はできるのか?

親が亡くなると、相続財産は遺族に分配されます。遺族は遺産分割協議をし、決まったら遺産分割協議書を作成して財産を分割します。そこでもし遺言書があれば、これが最も重要視されます。すなわち優先順位は 遺言書が分割協議書より先になります。
一般的には遺産分割は遺言書通りに実行されます。しかし中には遺言書通りに分割したくないこともあり得ます。遺産分割は遺言書通りでないといけないのでしょうか?

ご安心ください。遺言書の内容と異なる遺産分割協議をすることは、条件付きで可能なのです。すなわち、相続人全員が遺言書の内容を把握したうえで、遺言書とは異なる内容の遺産分割をすることに合意している場合は、遺言書の内容と異なる内容で遺産分割協議をすることができます。

ただ以下の場合にはそれができません。

(1) 相続人全員の同意が得られていない場合。
(2) 相続人以外の受遺者がいて、その受遺者の同意が得られていない場合。
(3) 被相続人が遺言書と異なる遺産分割協議を、遺言書で明確に禁止している場合。
(4) 遺言執行者が設定されており、遺言執行者が遺言と異なる遺産分割に同意しない場合。
(4)の場合は、いったん遺言書通りの相続を行ったうえで、新たな契約として財産の移転を行う必要があります。

また遺言書と異なる人物に不動産を相続させたい場合については、紙面の関係から別の機会に記載いたします。

遺言書と異なる内容の遺産分割を行う際は、ケースにより異なるため事前に専門家に相談してから対処しましょう。

The following two tabs change content below.
【公認会計士・税理士】早稲田大学第一商学部卒業。 有限責任監査法人トーマツ退社後、清新監査法人を設立、代表社員として従事(平成15年退任)。 税理士としては、トーマツ退社後、共同事務所経営を経て、串田会計事務所を設立。平成28年に税理士法人化、令和元年に社名を令和税理士法人に変更。現在に至る。 事務所開業以来40余年、個人のお客様及び中小企業から上場企業まで関与。 他に令和アドバイザリー株式会社の代表取締役を兼務。 趣味は、剣道(7段)、長唄、観相、囲碁等多数。