未成年者控除

相続税額の計算が終了し、各相続人の納付額も確定したのちに、税額自体を控除できる制度があります。その中の一つに未成年者控除という制度があります。
お父さんやお母さんが若くして亡くなった場合など、相続人のなかに未成年者がいる場合もあり得ます。この場合その未成年者の納付すべき相続税はその未成年者の年齢に応じて一定額を控除できるという制度です。

〈要件〉
これを利用するには次の要件をカバーすることが必要です。
①相続開始時に未成年者であること。
②相続または遺贈により財産を取得したこと。
③法定相続人であること。
④相続開始時に日本国に住所のあること。

従って、財産を受け取らなければ対象外ですが、たとい相続放棄をしていても生命保険金等を受け取った場合は対象となります。

〈算式〉
それではいくら控除できるかというと、
「20歳(令和4年4月1日以降は18歳)-相続開始時の年齢」×10万円=控除額
その年数が一年未満であるとき、又は一年未満の端数があるときはこれを一年として計算します。(令和4年4月1日以降は成人の定義が変わり、控除額が減らされて不利となってしまいました。)
この未成年者控除額が、相続税額より多くて控除しきれない場合は、その未成年者の扶養義務者(一般的には父母、祖父母等)から控除できます。

〈計算例〉
相続開始年齢11歳4か月とすると、20歳-11歳4か月=8年8か月→9年となります。
控除額は10万円×9年=90万円

その未成年者の相続額が50万円だとすると、差額の40万円はその未成年者の扶養義務者で、同一の被相続人から相続や遺贈により財産を取得した者(例えば母親)の相続税から控除できるものとされています。

また未成年者が2回以上相続した場合には、それぞれ未成年者控除を受けることができますが、2回目以降の控除額は、最初の相続時にその者の扶養義務者から控除した残額、すなわち現在までの控除不足額の範囲内に限られるので、大分減少するでしょう。
尤もこの控除は2回以上受けたくありませんが……。

The following two tabs change content below.
【公認会計士・税理士】早稲田大学第一商学部卒業。 有限責任監査法人トーマツ退社後、清新監査法人を設立、代表社員として従事(平成15年退任)。 税理士としては、トーマツ退社後、共同事務所経営を経て、串田会計事務所を設立。平成28年に税理士法人化、令和元年に社名を令和税理士法人に変更。現在に至る。 事務所開業以来40余年、個人のお客様及び中小企業から上場企業まで関与。 他に令和アドバイザリー株式会社の代表取締役を兼務。 趣味は、剣道(7段)、長唄、観相、囲碁等多数。