離婚の際の財産分与 渡す側の注意点

以前の記事でも触れましたが、離婚時の財産分与で、贈与税は基本的にかからないとご説明しました。贈与税ですので、財産をもらう側にかからないという事です。

では、財産を渡す側はどうでしょう。
仮に財産分与で現金5,000万円を渡す代わりに、時価5,000万円の不動産を渡した場合はどうなるのでしょうか。
これも以前の記事で少し触れましたが、渡した側に譲渡所得税の課税が行われます。

何故、渡した側に課税が行われるのでしょうか。
お金は一銭も得ていないのに。
それは、5,000万円で不動産を売却し、そこで作られたお金を渡したと見なされるからです。不動産を売却して利益を得れば、当然、譲渡所得の申告が必要となります。
購入時よりも価格が高騰している場合、譲渡所得税が発生する可能性がある事を覚えておきましょう。

なお、財産分与した不動産が自宅の場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を受けられる可能性があります。
ただし、この特例は売り手と買い手が、親子や夫婦関係では使う事ができません。
よって、特例の利用をお考えの方は、離婚成立後に財産分与するようにしましょう。

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【公認会計士・税理士】早稲田大学第一商学部卒業。 有限責任監査法人トーマツ退社後、清新監査法人を設立、代表社員として従事(平成15年退任)。 税理士としては、トーマツ退社後、共同事務所経営を経て、串田会計事務所を設立。平成28年に税理士法人化、令和元年に社名を令和税理士法人に変更。現在に至る。 事務所開業以来40余年、個人のお客様及び中小企業から上場企業まで関与。 他に令和アドバイザリー株式会社の代表取締役を兼務。 趣味は、剣道(7段)、長唄、観相、囲碁等多数。