相続をさせたくないときどうするか?

親に暴力をふるうような子には一銭もやりたくない等と思っている親ごさんもいるでしょう。このように財産を渡したくない子などがいた場合は、相続人の廃除の申し立てをし、相続権を奪うことができます。また遺言で廃除の意思表示をすることもできます。
廃除の対象となるのは、遺留分のある推定相続人(※)で、つぎの3つの事由のどれかがあった場合は廃除の対象にできます。

①被相続人に対する虐待、
②被相続人に対する重大な侮辱、
③その他の著しい非行 です。
※推定相続人とは、相続が発生した場合に相続人となる予定の人

実際に廃除が認められるかどうかは、家庭裁判所の審判によります。
相続廃除されれば、遺留分もなくなります。つまりなにも相続できなくなるのです。しかし相続廃除は憎らしい廃除された当人のみに有効で、廃除された相続人に可愛い子や孫がいれば、相続権は引き継がれます。相続廃除した相続人の子供にも財産を渡したくない(代襲相続させたくない)と思っても、さらにこの子に対しても家庭裁判所に申し立てないと財産はこの子のもとに行ってしまいます。
では相続廃除が認められる確率は高いのかというと、決してさほど高いわけではなく、平成29年度の家庭裁判所の統計によれば約20%とのことです。虐待や侮辱といった行為の多くは、家庭内という閉鎖的な空間で起きるため、それを立証するための証拠がないということも多々あります。また、基本的に、相続廃除を認めるかどうかについて裁判所は慎重な姿勢をとります。そのため、申し立てをしたとしても容易に認められるわけではないのです。

相続廃除手続きは被相続人が生存中に行う「生前廃除」と。死後に遺言執行者が行う「遺言廃除」の2種類があります。「遺言廃除」の場合は、相続廃除の対象となる証拠の入手が困難であるところから、生前に十分証拠を集めておく必要があります。
なお被相続人は廃除の審判を得た後でも、いつでもこの廃除を取り消すことができます。(遺言でも可能です。)この場合も家庭裁判所への申し立てが必要となります。

何れにせよ相続廃除はあまりやりたくない手続きなので、親子仲良くゆきたいものです。

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【公認会計士・税理士】早稲田大学第一商学部卒業。 有限責任監査法人トーマツ退社後、清新監査法人を設立、代表社員として従事(平成15年退任)。 税理士としては、トーマツ退社後、共同事務所経営を経て、串田会計事務所を設立。平成28年に税理士法人化、令和元年に社名を令和税理士法人に変更。現在に至る。 事務所開業以来40余年、個人のお客様及び中小企業から上場企業まで関与。 他に令和アドバイザリー株式会社の代表取締役を兼務。 趣味は、剣道(7段)、長唄、観相、囲碁等多数。