親からの贈与について

親子間のお金のやりとりでも、場合によっては子供に贈与税が発生する可能性があります。
例えば、以下の場合が該当します。

「1」父親からもらった留学費用120万円を全て趣味に回していた。

もらったお金を生活費・教育費以外に流用したため、贈与税の対象になります。
なお、扶養義務者(父母など)から必要の都度もらう生活費又は教育費(通常、必要と認められるもの)については、贈与税の対象とはなりません。

「2」個人で営んでいた事業を廃業する時、父親から借りていた運転資金300万円を免除してもらった。

父親に借金を免除してもらったことで、子供が実質300万円の利益を得たことになるため、贈与税の対象となります。
ただ、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その債務の弁済をすることが困難である金額については、税務署に認められた場合、贈与税の対象とはなりません。
※ 国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4424 債務免除等を受けた場合

「3」学校卒業後、父親に奨学金600万円を一括返済してもらった。

父親に借金を弁済してもらったことで、子供が実質600万円の利益を得たことになるため、贈与税の対象となります。
ただ、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その債務の弁済をすることが困難である金額については、税務署に認められた場合、贈与税の対象とはなりません。
※ 国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4424 債務免除等を受けた場合
なお、この場合は110万円の非課税枠内で贈与を受け、子供が自分で返済していく等、家族と相談して返済計画を立てることも必要でしょう。

「4」父親の死亡後、保険金800万円を受け取ったが、保険料は契約者の母親(存命)が支払っていた。

子供は一切保険料を負担せずにお金を得ているため、保険料を負担していた母親からの贈与になります。
ただ、怪我や病気などが理由で受け取るものは、非課税となります。
なお、亡くなった父親が保険料を負担していた場合は、贈与税ではなく、相続税の対象となります。

「5」親子で株式を所有している同族会社で、父親が会社に貸している5,000万円の返済を免除した。

まず、会社側は5,000万円の債務免除を受けたことになります。そうなりますと、借金が消えたことにより、会社の純資産額が増加し、それに伴い子供が持っている株価も増加します。この増加した分に対して利益を得ているとみなされ、贈与税が課税されることになります。
ただ、会社の繰越欠損金が多く、債務免除を受けても価値が0円であれば、贈与の問題は生じません。
なお、自社株の評価は多くの知識が必要となるため、手数料が発生しても専門家に依頼することをおすすめいたします。

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【公認会計士・税理士】早稲田大学第一商学部卒業。 有限責任監査法人トーマツ退社後、清新監査法人を設立、代表社員として従事(平成15年退任)。 税理士としては、トーマツ退社後、共同事務所経営を経て、串田会計事務所を設立。平成28年に税理士法人化、令和元年に社名を令和税理士法人に変更。現在に至る。 事務所開業以来40余年、個人のお客様及び中小企業から上場企業まで関与。 他に令和アドバイザリー株式会社の代表取締役を兼務。 趣味は、剣道(7段)、長唄、観相、囲碁等多数。