遺産分割事件の調停

全国の家庭裁判所の遺産分割事件数は長期的に増加傾向にあり、相続によるトラブルは他人事ではなくなっております。「令和3年司法統計年報」によれば裁判所に持ち込まれた遺産分割事件数13,477件のうち調停が成立したのは5,895件、調停に代わる審判に至ったのは3,851件、取り下げが2,353件でした。
遺産価額が1,000万円以下のものは2,279件もあり(思のほか多いのに驚きます)、相続トラブルは決して富裕層だけのものではないことがわかります。

調停については、家庭裁判所では調停委員が間に入り、話し合いの解決を目指します。調停が成立しなければ、遺産分割審判に移行します。遺産分割調停の申し立て総数の4割以上は調停で合意に至っております。調停委員から解決案を提案しもらえることも多いので、家族親族間の相続問題を解決するために、裁判所を活用する人が多いのです。

相続トラブルの多くは、家族間のコミュニケーション不足にあります。従って親と子の相続についての話し合いが重要となるのです。
財産については、不動産、現金預金、有価証券などの保有資産だけでなく、借金などの負債についても明確にしておく必要があります。これらの財産や相続人の状況を踏まえ、相続が発生した場合の、財産の承継方式や配分を決めておくことが重要です。まず親は、自らの意向を家族にはっきりと打ち明けておきます。
特に不動産や動産などの資産で物理的に分割するのが難しいものは、誰が引き継ぐか、共同で所有するか、売却して金銭を分けるか等を決めておくことが大切です。

その他色々決めておかねばならぬものがありますが、相続人全員が相続について共通認識持つようにすれば、相続トラブルを防ぐことができます。遠慮のない話し合いを多いに行い、
どうか争族にならないようにしたいものです。

The following two tabs change content below.
【公認会計士・税理士】早稲田大学第一商学部卒業。 有限責任監査法人トーマツ退社後、清新監査法人を設立、代表社員として従事(平成15年退任)。 税理士としては、トーマツ退社後、共同事務所経営を経て、串田会計事務所を設立。平成28年に税理士法人化、令和元年に社名を令和税理士法人に変更。現在に至る。 事務所開業以来40余年、個人のお客様及び中小企業から上場企業まで関与。 他に令和アドバイザリー株式会社の代表取締役を兼務。 趣味は、剣道(7段)、長唄、観相、囲碁等多数。