生命保険金の取り扱い

今回は相続財産として挙げられる中で、生命保険金に対して相続税が課税されるのかという点についてご紹介したいと思います。

結論として、生命保険金を満期又は被保険者の死亡によって取得した場合、その保険契約の内容によってかかる税金が相続税、贈与税、所得税と異なる場合が考えられます。

保険契約を「被保険者」は父として、「保険料負担者」と「保険金受取人」を父、母、子の」それぞれとし、「被保険者」である父が亡くなったことを前提条件とした場合、以下のような税金が課税されます。
①「保険料負担者」が父であり、「保険金受取人」が母や子の場合
⇒父が支払っていた保険料を、母や子が受領しているので、相続税が課税されます。

②「保険料負担者」が父や母であり、「保険金受取人」が子の場合
⇒父や母が支払っていた保険料を、子が受領したことになるので、贈与税が課税されます。

③「保険料負担者」が母であり、「保険金受取人」も母である場合
⇒母が支払っていた保険料を、母自身が受領したことになるので、所得税が課税されます。

このように「被保険者」、「保険料負担者」、「保険金受取人」が異なることによって、課税される税金も異なってきます。

最後に実際の金額を用いて、子が保険金を受け取った場合、相続税、贈与税、所得税をいくら納める必要があるのかご紹介したいと思います。

【例】
子は、父の死亡により5,000万円の保険金を受領し、保険料負担者は子が1,000万円、父が600万円、母が400万円を前提とした場合、子が負担する税金は以下の通りです。

・子の一時所得の収入金額。(所得税が課税されます。)
5,000万円×1,000万円/2,000万円=2,500万円

・子が父から相続により取得したものとみなされる金額。(相続税が課税されます。)
5,000万円×600万円/2,000万円=1,500万円

・子が母から贈与により取得したものとみなされる金額。(贈与税が課税されます。)
 5,000万円×400万円/2,000万円=1,000万円

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【公認会計士・税理士】早稲田大学第一商学部卒業。 有限責任監査法人トーマツ退社後、清新監査法人を設立、代表社員として従事(平成15年退任)。 税理士としては、トーマツ退社後、共同事務所経営を経て、串田会計事務所を設立。平成28年に税理士法人化、令和元年に社名を令和税理士法人に変更。現在に至る。 事務所開業以来40余年、個人のお客様及び中小企業から上場企業まで関与。 他に令和アドバイザリー株式会社の代表取締役を兼務。 趣味は、剣道(7段)、長唄、観相、囲碁等多数。