相続税を支払えない場合(1)延納

相続はしたけれど相続財産は土地、建物等の不動産が中心で、相続税を納付するための現金預金が大幅に不足するといった例はよく見受けられます。
現預金がないなら相続した土地を売却すればよい、とばかり売却に走るのですが、立地もよく(例駅近)、地形も悪くなければ簡単に売れますが、駅から遠かったり、地形が不正形であったり山林または市街化調整区域内であったりすると、そうそう簡単には売れません。そんな状態で売り急ぐと業者から足元を見られ安く買いたたかれたりします。
土地の売却もすぐできないならどうするか?

国は延納とか物納といった制度を設けています。
延納とは納税額を何年かに分割して納める制度で、物納とは現金に換えて相続財産そのものを直接納める制度です。(物納については回を改めて説明します。)
延納の場合は代表的には不動産を担保に5~20年にわたり分割して納付できます。その他国債、社債、有価証券などを担保にすることもできます。
しかし延納には要件があります。

①現金で一括払いすることが難しい理由があり、かつ支払いできない範囲内で申請すること。この支払できない範囲内とは、相続した財産だけでなく、財産を相続した人がもともと持っていた財産を足してもなお支払いができない範囲を言います。
②延納をする税額に相当する担保を提供すること。
③延納申請書と担保関係書類を相続税の申告期限までに提出すること。
ここで問題になるのは国はただ支払いを引き延ばしてはくれず金利をとられることです。。その金利は延納の期間により差があり、次の表のようになっています。


国税庁ホームページより
以前は高かったのが、令和4年現在、だいぶ低くなりました。よくよく検討してください。

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【公認会計士・税理士】早稲田大学第一商学部卒業。 有限責任監査法人トーマツ退社後、清新監査法人を設立、代表社員として従事(平成15年退任)。 税理士としては、トーマツ退社後、共同事務所経営を経て、串田会計事務所を設立。平成28年に税理士法人化、令和元年に社名を令和税理士法人に変更。現在に至る。 事務所開業以来40余年、個人のお客様及び中小企業から上場企業まで関与。 他に令和アドバイザリー株式会社の代表取締役を兼務。 趣味は、剣道(7段)、長唄、観相、囲碁等多数。