建物未登記のデメリット

建物を新築した時は建物の表題登記を申請する義務があります。しかし、相続により取得した建物が未登記であるものが意外と多く存在しています。
不動産登記は不動産に対する権利の保全を図り、取引の安全を確保するために、登記簿に建物の物理的状況と権利関係を記録して、その登記事項を公開する制度です。
登記事項は、不動産の所在や床面積などの基本的な情報が記録された「表題部」と、その不動産の所有者の氏名、住所、抵当権などが記録された「権利部」に区分されます。
建物が未登記である場合は、仮にその建物の所有者であっても、その所有権を争う第三者に対して、自分が所有者であると主張、立証することが困難になる可能性もあり、登記することは極めて重要なことです。

そこで、建物が未登記であることのデメリットを挙げてみますと以下の通りとなります。

(1)相続した建物を売却したり、賃貸する際に手続きをスムーズに進められない可能性があります。 未登記では取引の相手方がこちらが本当の所有者かどうか確認できないので、不安になるからです。
(2)銀行から借金をする場合も、未登記だと建物を担保に提供することができません。
(3)上述のように第三者と所有権の争いになった際にも、所有者として法的根拠を示すことが困難な場合があります。

このように未登記の建物をそのままにしておくと、様々なでデメリットがありますので、遺産相続によって建物を取得した時はまずその建物の登記を確認し、漏れていたら早急に登記申請をしてゆきましょう。
なお令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化されます。

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【公認会計士・税理士】早稲田大学第一商学部卒業。 有限責任監査法人トーマツ退社後、清新監査法人を設立、代表社員として従事(平成15年退任)。 税理士としては、トーマツ退社後、共同事務所経営を経て、串田会計事務所を設立。平成28年に税理士法人化、令和元年に社名を令和税理士法人に変更。現在に至る。 事務所開業以来40余年、個人のお客様及び中小企業から上場企業まで関与。 他に令和アドバイザリー株式会社の代表取締役を兼務。 趣味は、剣道(7段)、長唄、観相、囲碁等多数。